みちばた日誌

いまをぼちぼち生きる。

水曜日の深淵

週半ばの水曜日には魔が潜む。私はそれを提唱したいと思います。土日休みの仕事をする人間にとっては折り返し地点。3日間を命からがら生き延びて、あと2日生き延びれば神より賜りし休息の日が迎えられるわけです。あと2日…あと2日かぁ…。

 

そう、あと2日が長い。それは悠久と言い換えてもいい長さです。ひ弱な人間に何もなしにそれを乗り越えろというのはあまりに酷というものでしょう。そこに、“魔”はつけ入るのです。

 

魔の侵食を許した人間は欲望に忠実となります。週アタマの勤勉さはどこへやら、欲が服を着て闊歩しているような浅ましい存在になりさがるのです。そうなるとどうなるか。

 

はま寿司で寿司を貪るのです。平日の、待ち時間が一切ないコンフォータブルな環境で、カウンター席につくやいなや「まかない軍艦」を2皿注文するのです。ここまでの流れに一切の淀みはなく、まさに流るる水の如き動きでこなしていく。“魔”が宿っているからこその身のこなしです。

 

その先もまた恐ろしい光景が続きます。美味しんぼでグルメを学んだ人間なら卒倒するような、無軌道な注文が叩きつけられていきます。シーフードサラダ、まぐろユッケ、シーフードサラダ、炙りヒラメのゆずが添えてあるやつ、納豆、シーフードサラダ、まかない軍艦…。

 

だったらもうスーパーでサラダ巻きを買って食えばいいじゃないか。お前は寿司を食いたいんじゃなくて、寿司を肴にシーフードサラダ軍艦を食いたいだけじゃないのか。そう自分の中にいる仮想敵が石を投げつけてくるのを感じます。

 

うるせーーーーーーーーーー!!!!!!!!!

じゃあお前は一生シーフードサラダ食うなバカ!!!!!!!!

 

恐ろしいですね、怖いですね。

画面の前の皆さんも、週半ばにお寿司屋さんの前をうっかり通るなんてことはなきように。

魔の手はいつだってあなたを狙っているということをお忘れなく…。